雲母書房
書籍詳細

発達障害という希望
診断名にとらわれない新しい生き方

石川憲彦、高岡健 【著】
1,500円(税込:1,620円)
子育て
四六判 / 並製
224頁
2012年06月10日
978-4-87672-317-1
4-87672-317-6


特別支援教育であれ普通教育であれ、「この子がいるとおもしろいことがあるなあ」という見方を周囲の大人や教師がしてくれるかどうかによって、本人の生きやすさは変わってくると思います。

親の子育ても同じです。「ほかの子とは違っているけど、いいところがあるなあ」と思っているあいだは、ほとんど問題なくつきあっていけます。この点に障害の種類は全く関係ありません。(本文より)


第1章 どんなふうに理解すればいいの?
障害は個性なのでしょうか?
発達障害が発見された背景
コミュニケーションが見えにくい時代
なぜ発達障害は広がってきたの?
特別支援教育と発達障害者支援法
他者からのまなざし

第2章 どんなふうに診断すればいいの?
診断基準について
AD/HDの診断
脳炎と心理テストについて
診断名と自尊感情
自閉症スペクトラムの診断
学習障害の診断
アスペルガー症候群の発見基準

第3章 どんなふうに治療すればいいの?
薬を使わない治療法
どうしても薬が必要なとき
AD/HDに薬は必要ない
どんなときなら処方する?
自閉症スペクトラムの薬物療法
薬の処方の問題点
薬は対症療法でしかない
認知行動療法とSST
出会いこそが最高の処方

第4章 どんなふうに関係すればいいの?
発見から療育へ
健診と親の負担
健診よりも大切なこと
1対1で対応するほうがいい?
親同士のグループの存在

第5章 どんなふうに支援すればいいの?
特別支援学校と特別支援学級
学校は校風によって変わる
特別支援教育といじめ
発達障害と不登校
高校進学という関門
大学の受け入れ体制

第6章 どんなふうに就労すればいいの?
福祉雇用について
カミングアウトする意味
労働観を変えていこう
週休3日半という構想
労働という仕組みを変える
心が通い合うということ
そして、降りていく生き方へ

評者: (2012年8月16日 月刊 実践障害児教育)
本書は、三名の精神科医の対談から構成されている。
 発達障害をどう理解すればいいか、どう診断すれば、どう支援すればいいかということから始まり、投薬についてや福祉雇用、職場でのカミングアウトなど、その話題は多岐にわたる。
 特に、医師の視点から語られる、薬についての問題は非常に興味深い。例えば子どもが
騒いで眠れないという保護者がいたら、基本的には子どもに睡眠薬を飲ませるのではなく、親のほうに飲ませるのだという。著者の一人、石川氏は、「ほとんどの投薬は、病気に効くのではなく生活上の必要悪なのです」と語る。こういった投薬などに関することは、保護者や教師も知っておくとよいだろう。
 また、保護者同士のグループや孤立する保護者についても、でっちの子」だけでなく「みんな」の視野が必要になる。
 発達障害について、二人の著者の聞でも、意見が異なるところが多数ある。これは、発達障害というものに対する考え方や指導法に、「これだ」という正解はないということを示しているともいえる。
 障害を異質なものとして分けて「私がこの子を理解してあげなければ」と考えるのではなく、「この子といっしょにいるとおもしろいな」「こうすれば伝わりやすいな」と当たり前のように接していけるような環境が大事なのだと気づく。




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