雲母書房
書籍詳細

介護者のための病気と薬がわかる本 漢方篇
高齢者がかかりやすい疾患、よく使われる薬と効用

佐渡豊 【著】
2,000円(税込:2,160円)
病気/薬
B5判 / 並製
160頁
2010年07月31日
978-4-87672-289-1
4-87672-289-7

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『漢方』というと、善かれ悪しかれイメージが先行し、何となく良さそう、何となくアヤシイ、といった心証だけで終わってしまっていませんか?

本書では、初めて漢方にふれる人が抱きがちな疑問や誤解も掲載して漢方薬の基礎知識を解説し、どんな時にどんな人に、どの薬を使えばよいのかを具体的に説明しています。
きちんと知ってきちんと使いこなせば、治らないと思っていた慢性疾患や不定愁訴にも対応できるのが漢方薬です。西洋的な医療の場にも浸透してきている漢方薬を、それぞれの長所短所を知ってコラボレートさせ、速やかな『治る』へつなげたいものです。

第1章漢方の基礎知識
1 漢方とは
漢方とは/漢方医学の発展/経験・個別重視の治療体系/漢方は勘法、感法である!?
2 今なぜ漢方か
漢方は日本の文化/漢方医学復興の理由
3 高齢者と漢方治療
高齢者の特徴と漢方治療のメリット/副作用
4 漢方の適応――得意な疾患・不得手な疾患
得意とする疾患/得意としない疾患
5 診断法――証を決める
病気の捉え方/診断のポイント/陰・陽――漢方のものさし
(1)/虚・実――漢方のものさし(2)/表裏――漢方のものさし(3)/気・血・水――漢方のものさし(4)/五感を駆使しての診断
6 西洋薬・民間薬との違い
西洋薬とは/民間薬とは/ハーブとは/漢方薬とは
7 漢方薬の種類、剤形
生薬の組み合わせ/剤形/エキス剤の特徴/生薬かエキス剤か
8 漢方薬の名前
近付きにくさの一因!?/名前の由来
9 漢方薬の飲み方
エキス剤(顆粒)の服用方法/服用する時間/効き目に要する時間
10 西洋薬との併用――併用しても大丈夫?
双方の特性を理解/補い合うという発想/併用不可の組み合わせ
11 漢方薬と副作用
安全性は高いが副作用も/副作用と誤治/危険な誤治の例/注意の必要な生薬

第2章疾病・症状による34 の処方例
1 かぜ症候群
2 鼻水・鼻づまり
3 咳や痰
4 誤嚥性肺炎の予防
5 のどの異物感
6 口内炎
7 頭痛、頭重感
8 高齢者の不定愁訴、認知症
9 不眠
10 めまい、立ちくらみ
11 心臓神経症
12 むくみ(浮腫)
13 低血圧症
14 上腹部の不具合
15 便秘
16 下痢
17 痔核
18 排尿障害
   ―頻尿、失敗、失禁、前立腺肥大症、尿道膀胱炎
19 性欲減退
20 生理不順、生理痛
21 女性の不妊症
22 更年期障害
23 肩こり
24 腰痛症
25 膝の痛み
26 打撲、捻挫など
27 疲れ易い
28 夏バテし易い
29 体力低下 ―― がん病中病後手術後
30 冷え性
31 肥満
32 老人性掻痒症、皮膚の乾燥による痒み
33 皮膚炎、湿疹、化膿
34 アトピー性皮膚炎

第3章よく使われる21 の漢方薬
1 葛カッコントウ根湯
2 加カ味ミ逍ショウ遙ヨウ散サン
3 桂ケイ枝シ 茯ブク苓リョウ丸ガン
4 牛ゴ 車シャ腎ジン気キ 丸ガン
5 五ゴ 苓レイ散サン
6 柴サイ苓レイ湯トウ
7 十ジュウ全ゼン大タイ補ホ 湯トウ
8 小ショウ柴サイ胡コ 湯トウ
9 小ショウ青セイ竜リュウ湯トウ
10 大ダイ黄オウ甘カン草ゾウ湯トウ
11 大ダイ建ケン中チュウ湯トウ
12 鉤チョウ藤トウ散サン
13 猪チョ苓レイ湯トウ
14 麦バク門モン冬ドウ湯トウ
15 半ハン夏ゲ 厚コウ朴ボク湯トウ
16 半ハン夏ゲ 瀉シャ心シン湯トウ
17 防ボウ已イ 黄オウ耆ギ 湯トウ
18 防ボウ風フウ通ツウ聖ショウ散サン
19 補ホ 中チュウ益エッ気キ 湯トウ
20 抑ヨク肝カン散サン
21 六リッ君クン子シ 湯トウ

第4章よくある質問と誤解Q&A
1 漢方で良くなりますか?
2 漢方を試してみたい!
3 飲み方を教えて!
4 漢方の「なぜ?」「なに?」

評者:塚塚保 (2010年9月28日 SANKEI EXPRESS)
「岩手・沼宮内」の消印。分厚い郵便物。送り主は、岩手県岩手町在住の医師、佐渡豊さんだ。地域にしっかり根を張った医療を展開している。わたしが産経新聞盛岡支局長だったとき、取材した。以来、親交を深めた。ホトトギスが鳴くころ、妻とともに緑豊かなご自宅を訪れた。こころゆくまで杯を重ねたことなど思い出す。
 開封した。一冊の本が入っていた。「介護者のための病気と薬がわかる本=漢方篇」。本を書かれたのか。
 医院に電話した。「やあ、塩塚さん。お元気でしたか」。かすかな、九州のなまりが懐かしい。佐渡さんは熊本出身。細川藩御典医の子孫である。漢方との出会いは30年前。起床したときから、体が重い。熱がある。頭痛もする。風邪かなと思った。ちょうどそのころ、漢方の本を読んでおり、関心があった。いい機会だ。自分で漢方薬を試してみよう。
 麻黄湯のエキス剤を服用した。体がぽかぽかとあたたかくなる。汗が出てきた。2時間もしたら、すうーっと全身が軽くなり、頭痛も消えた。漢方の力を感じた。漢方医学専門家の講義を聞き、本を読んで研究した。
 「漢方医学は、中国から渡ってきたのですが、江戸時代に入って日本独自の進化を遂げたのです」
 しかし、明治時代、政府は近代化を急ぐ余り、西洋医学を重視した。次第に漢方医学は廃れていく。多くの漢方医はつらい境遇に陥っていった。
 「西洋医学は、切れ味鋭く、即効性がある。一方、漢方は自然治癒力を引き出し、病気を治そうとする。全人的治療。日本古来の思想が入っています」
 佐渡さんは患者に漢方薬を投与。たびたび、漢方医学の効用を報告し、出版社から執筆を頼まれた。
 佐渡さんは多忙だ。早朝5時に起床し、執筆時間を捻出した。難しく、ファジーという漢方の印象を変えたい。使命感を抱き、肉筆で原稿用紙に書きこんだ。30年間、蓄積した医師の力量を解き放った。2年かけてようやく出版にこぎつけた。
 「漢方の力は患者さんから教わった。漢方を身近に感じてほしい」




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