雲母書房
書籍詳細

認知症ケアの創造
その人らしさの看護へ

阿保順子、池田光穂、西川勝、西村ユミ 【共著】
1,600円(税込:1,728円)
痴呆/認知症
四六判 / 上製
208頁
2010年12月01日
978-4-87672-298-3
4-87672-298-6


 私たちは認知症といわれる人々を、どのように理解したら良いのでしょうか?
 どのように支えることができるのでしょう?
 
 徘徊、譫妄、妄想など、強い周辺症状がそのイメージをふちどるあまりに理解が難しいように思われる認知症ですが、それは必ずしも故なき混乱ではありません。
 
 看護・介護する側の理解が深まるほどに安らげる状況をつくることができ、自然な老いのありようとして、ターミナルへの、その人らしい穏やかな道程でありうるのです。人と人として、ともにいることができる。そんな認知症ケアへ向けて、4人の著者がそれぞれの持ち場から考察を深めます。
 
   〜 〜 〜

 現場の看護師・介護士の方に、ぜひ日々のケアを見つめ直す手がかりにしてほしい、認知症ケアへのアプローチです。
 
 と同時に、老いや認知症が気になっている世代のみなさまに、「右肩上がりの近・現代的尺度」に疑問をお持ちの方々にも、新しい人生観と自己のありようを見つけるためのヒントになるに違いありません。
 

T 認知症とケアの現在


第一章 となりの認知症           西川 勝
一 認知症に出会う
二 交感するこころ・身体
三 老いと希望
四 となりの認知症

第二章 認知症老人の生活世界        阿保順子
一 自分を超えていくプロセス
二 仮の関係
三 自分探しの旅
四 影絵の世界

第三章 認知症の医療人類学         池田光穂
一 「ぼけ」の医療化
二 痴呆症の近現代史
三 「認知症」を認知せよ!
四 名称変更の政治学?「歪んだ医療化」論
五 「ぼけ防止」と「認知症を予防する」のあいだ

U 認知症が問いかけるもの


第四章 老いのパラドックス         池田光穂
一 幸せについて考えよう
二 老いのパラドックスをめぐる問題
三 パラドックスまみれの高齢者問題
四 寿命延長への渇望
五 幻影のパラドックス

第五章 自己意識問題としての認知症     阿保順子
一 私たち自身の「生」
二 認知症者はどう扱われるか
三 認知症者と共同体
四 社会と自己意識
五 人間と自然の約束事としての倫理
六 自と他の境界とその曖昧さ
七 自己意識と倫理

V 認知症ケアの可能性


第六章 ていねいなお付き合い        西村ユミ
一 「あいだ」をまなざす
二 出会い
三 お付き合いを重ねる
四 常に傍にいる
五 皆で生み出すケア

第七章 ぼけの復権をめざして        池田光穂
一 ぼけと認知症の現在進行形
二 ぼけが悪ものにされた時
三 老人ぼけの経済学
四 ぼけのいない理想郷
五 痴呆症から認知症へ、認知症から「ぼけ」へ

第八章 患う人をトータルに看る実践     阿保順子
一 在宅でのケア?「ハビリテーション」という考え方
二 在宅ケアから施設入所へ?決断の時
三 生物学的な変化への対応?具体的な生活を支える方法
四 ケアへのまなざし

評者: (2011年2月18日 看護実践の科学 3月号)
本書は4人の著者が各専門領域の視点から「認知症ケアを考えてきた共同作業の中間報告あるいは試論集です」、そして「…認知症ケアは、ある特定の専門家と当事者とその家族の中で生じている具体的かつ特殊な、個別の課題という表情をしていますが、同時に社会全般から見ると、すべての人に開かれた一般的問題ということができます」と編著者があとがきで述べています。
 今まで体験したことのない超高齢社会、そこにいちばん気がかりなのは“認知症”の問題ではないでしょうか。人は誰でも老い、認知症になりうることもまた、事実です。
 本書は「認知症のケアの現在」「認知症が問いかけるもの」「認知症ケアの可能性」の3つの構成で編まれていますが、それぞれの著者の体験と提言は、人の居る風景のあり方を問いかけているようです。
 「認知症ケアの創造−その人らしさの看護へ」の書名通り、いま、このとき、あらためて認知症を考える機会を与えてくれています。


評者: (2011年1月13日 介護新聞)
道医療大シンポを基に多角的に考察

 認知症について、具体的なケア方法、捉え方や社会的位置付けについてなど、多角的に考察した「認知症ケアの創造 その人らしさの看護へ」が雲母書房から刊行された。
 著者は阿保順子長野県看護大学長、池田光穂大阪大コミュニケーションデザイン・センター教授、西川勝同特任教授、西村ユミ同准教授。
 かつて認知症ケアは、本人と家族の事柄という閉じた世界としての認識が一般的だったが、現在は医療、福祉、看護など関係する領域が拡大しているという。
 刊行のきっかけは北海道医療大で二十年、阿保氏、池田氏、西川氏が参加して行われた公開シンポジウム「虚構としての認知症ケア」。
「認知症ケアが持つ社会的意味」を介護従事者以外にも広く知らせることを目的に、四人の著者が考察をより深めて執筆。認知症ケアそのものの在り方の再確認の必要性を提起している。


評者: (2011年2月17日 現在)
以下の誌紙でも掲載されました。

「ベストナース(月刊誌)」(第22巻 第2号、北海道医療新聞社)
「臨床作業療法」(8巻 1号、青海社)
「コミュニティケア」(Vol.13 04 154号)
「図書新聞」(2012.1.21)




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