雲母書房
書籍詳細

逆説の親鸞

武田定光 【著】
2,000円(税込:2,160円)
宗教
四六判 / 上製
216頁
2011年01月15日
978-4-87672-300-3
4-87672-300-1

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 親鸞の流罪という出来事は、教団に属さない人にとっては、一見、自分とは関係のないことのように思われるかもしれません。
 しかし人が何らかの集団の中で、人間関係の中で生きている以上、そこに齟齬が生じたり、正しいと思っていたことがいつのまにか違う意味を帯びている、というようなことに否応なく遭遇することがあります。そのようなとき、出来事を、そして自分の考え方、生き方までもまっすぐに見つめ直すことは、大変勇気のいることではないでしょうか。
 
 第1章「流罪の親鸞」は、著者がそのような立場にある自らを発見した苦悩と、にもかかわらず果敢に親鸞と向き合い、逆説的にのみ成立する「救い」を見出すにいたる魂の記録であり、根源的であろうとした思索の結実です。
 そしてそこでの「救い」は(語弊があるかもしれませんが)いわゆる「信者」に限られない普遍的なものとしての「浄土思想」であり、親鸞思想であると言えます。

 
 これに呼応して最終章では、『阿弥陀経』をメタファーとして読み解き、「浄土」のイメージを新たにしていきます。従来死後の世界として捉えられ、それ故に現代ではその効力を失ったかに見える「浄土」をいのちの根源に捉え返し、それに基づく個性と多様性尊重の仏法的世界認識の回復を提言するなど、時代を超えて実存を支える仏教―真宗というものを浮き彫りにしていきます。
 
 第2章は時事問題や世相に触れて「信」「問い」「表現」などのありかたを考え、第3章は「生きる意味」の逆説を鋭く射抜く考察です。
 
 これまであまり仏教書に馴染みがなかった方も、「抹香臭いお説教」、「葬式仏教」などの古いイメージは脇に置いて、一度仏教と、親鸞と、正面から向き合ってみてはいかがでしょうか。
 
 そして門徒の方々には、親鸞の750回忌に当たる2011年、信を深める思索のよすがとして、お手に取っていただければ必ずやご期待に背くことはないでしょう。
 
 近・現代の価値観を問う、真摯な一冊です。
 
 (第3章を除き連載を元としています。但し本書のために相当の加筆訂正を行いました。)

はじめに


第1章 流罪の親鸞
1 親鸞とは誰か
2 吉水の法然
3 弾圧と寛容性
4 二尊の論理
5 弾圧者とは誰か

第2章 複眼の視野
1 臨床と基礎
2 「千の風になって」を考える
3 「いのち」を考える
4 「信」と「知」について
5 排除型発想の問題
6 問いの客観性と主観性
7 表現へのいのり
8 クリスマスを寺で開くコツ
9 どうしたら(how to)という問い
10 自己の解体と再生---いのちの実体化に抗して
11 「他者」という問題

第3章 意味の病を超えて
1 死と生の自覚
2 生きる意味は必要か---香山リカの場合
3 意味の逆説
4 言葉と身体

第4章 メタファーとしての阿弥陀経
1 阿弥陀経に向き合う
2 阿弥陀経における無量
3 呼びかけと応答---信の核心
4 悟りの構造
5 煩悩と浄土のメタファー
6 方便と偶像
7 仏教における「個」と「世界」
8 現世利益考
9 問うものと答えるもの
10 仏法における否定性
結び---メタファーとして浄土を遊ぶ

おわりに


評者:三上治 (2011年10月15日 図書新聞)
http://www.kirara-s.jp/other/topics2011101101.html




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