雲母書房
書籍詳細

介護の現場がこじれる理由
フリーのケアマネが見た在宅介護の10年

本間清文 【著】
1,600円(税込:1,728円)
介護概論
A5判 / 並製
240頁
2011年02月20日
978-4-87672-301-0
4-87672-301-X


なぜ“介護の社会化”はうまく行かないのか?
 
日本人の場合、言語的コミュニケーションよりも"空気を読む"ことや"あうんの呼吸"といった、非言語的コミュニケーションで関係をつくる。
だから、わが国では以下のようなタイプが理想のヘルパー像になる。
@その家の家族関係やゴタゴタに介入しようとしない
A家族関係やその家の空気・雰囲気を読んで行動する
B説明を求めるのではなく、あうんの呼吸で自ら察して行動する

プロローグ
老夫婦の入院/介護保険が理解できない老人/介入する身内/あっけない訃報/長寿というフィクション

第1章 要介護者自身によるこじれ
・ヘルパーをうまく利用できない人
・ヘルパーと自立支援サービス
・自己受容と自立支援
・障害受容とリハビリ
・デイサービスを拒否する男親
・精神面での自分自身とのこじれ
・不合理な選択をする高齢者

第2章 介護家族によるこじれ
・要介護状態と介護の負担
・「介護上手」は介護に向かない
・介護地獄からの脱出例
・男性の介護
・男らしくない介護のススメ
・バイアスを加える別居家族
・自分でする介護、他人がする介護
・「不適切な介護」とは何か
・他人に介護を評価できるのか?
・支援拒否と対処療法サービス
・徘徊にみる家族援助の傾向と対策
・徘徊をつくっているのは誰か?

第3章 市民・社会によるこじれ
・「介護の社会化」とは何か
・介護を社会化するコツ
・日本社会と「介護の社会化」
・日本の介護における自立概念
・北欧における自立概念
・老人と地域
・地域包括ケアの面倒くささ
・支援により崩壊する地域
・自己覚知できていない援助者
・認知症老人と対人援助職
・認知症老人のチカラ

第4章 市場原理によるこじれ
・介護労働と公共事業
・介護者と事業者の利害関係
・表面のみ重要視される傾向
・福祉サービスを低下させるもの
・審判なき競争というこじれ
・競争原理がケアサービスに与えた影響
・チームワークを壊す企業エゴ
・競争のゴールはどこか?
・ケアサービス指標・私案
・インセンティブ・私案
・介護サービスの「質」について

第5章 介護保険制度によるこじれ
・介護保険法という制度上のややこしさ
・制度を運用する保険者の問題
・エスカレートするコンプライアンス
・ケアマネジメント制度への無理解
・「総論なき各論」の繚乱
・声を発しないケアマネジャー
・介護職に就く人、医療職に就く人
・介護従事者の尊厳を問う
・介護職にとってのピンチとチャンス
・ヘルパー養成システムの課題

第6章 保険・福祉・医療によるこじれ
・生活援助をめぐる問題
・家族の生活評価について
・老人と尊厳
・要介護と保険事故
・保険か福祉か
・揚げ物は日常生活上の援助か?
・迷走する介護保険制度
・現場無視の制度改正
・医療連携がこじれる理由
・増えない訪問看護
・従事者からみた医学モデルと生活モデル
・認知症と胃ろうについて
・西洋思想と「老い」のこじれ

エピローグ
ゴミ屋敷とアルゼンチン/戦争と棄民/介護保険と棄民

評者:杉山 春 (2011年4月19日 週間朝日(4月29日号))
突然やってくる親の介護。全く知らない世界に途方に暮れる。介護保険実施から十一年、フリーのケアマネジャーとして多くの家庭を見て来た著者が、「こじれ」をキーワードに読み解く介護の現実。
 男親がデイサービスを受け入れられないのは、衰えを認められない自分自身とのこじれから。介護の負担が重いのは肉体労働のためではなく、親子や夫婦の葛藤が解決しないまま、世話をする、される関係に突入した、家族間のこじれのため・・・・・・。
 介護者は、かつてのような老妻や嫁ではなく、夫や勤め人の息子など多様化した。弱い人を援助することで自分の力を確認したいヘルパーは迷惑な存在だが、一方、人の最後の時間を支援する崇高で高貴な仕事である。ケアプランに短期や長期の目標はいらない。ゆったりと寄り添って、穏やかなケアができればいい。読み終えると、老いに伴走するのは豊かなことかもしれないと思えてくる。


評者:熊田洋子 (2011年5月21日 図書新聞)
http://www.kirara-s.jp/other/topics2011051301.html




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