雲母書房
書籍詳細

高齢者施設における看護師の役割
医療と介護を連携する統合力

しばらくお待ちください。
鳥海房枝 【著】
1,800円(税込:1,944円)
医療/看護の実践
A5判 / 並製
208頁
2007年03月20日
978-4-87672-222-8
4-87672-222-6


施設看護師に存在意義を与える
厚労省の施策の詳細はこの人から!
 
老人看護にこそナースのやり甲斐がある!
介護施設には「患者」ではなく、暮らしているお年寄りがいるのです。
「医療モデル」ではなく「生活モデル」を描けるか否か。
いま、ナースの力量が問われています!

第1章 生活施設の看護とはなにか
■老人介護抄史 
「手厚い福祉」の陥穽 
拘束は意識されていなかったか 
福祉用具の使い方がわからない 
安全のために? 
介護施設が大幅に増える 

■看護職のほんとうの役割 
配置基準に問題 
配置基準は据え置きのままで 
競争の中身 
重度化のからくり 
長期化・ターミナル 

■いつものように暮らせるところ 
貴族の生活 
医療モデルと生活モデル 
暮らしの場の原則「食べたいときが食事どき」 
風呂は溺れさせなければいい 

■きれいなご遺体の価値 
「この方法は正しいか?!」 
お年寄りの笑顔を引き出す 
高齢者施設にふさわしい看護師 
拘束以前の問題 
お年寄りが秘めている物語 
遺体はケアの通信簿 
棺の蓋が閉まるか 
看護は介護のすべてをカバーする 
予防的な看護が介護の質を左右する 
看護師には医師よりも総合力が求められる

第2章 問題解決の方法
■看護師も経営的発想を 
決着がついていること 
拘束をやめたいのですが…… 
金勘定のできない看護師は文句を言うな 
やってもやらなくても責任は重い 

■ケースワークも範囲内 
事前面接の意味は 
予測できないリスク 
「診断」をするのは逸脱 
最低基準を守れないところは潰れてしまえ 
緩慢に進行する事故 
事故防止の考え方 

■効率主義の陥穽 
忙しさの中身と拘束 
医療の厚い事業所の役割 
看護職が定着しない? 
事前説明が介護をしやすくする 
生活の視点から見る 

■医療と生活の線上で振る舞う 
機械的なバイタルチェックはしない 
何でもかんでも看護師が行くな 
医療行為の境界線 
求められるリスクと病状予測能力 
カンファレンスや話し合いのときのコツ 
他職種との連携 
他職種のエキスパートの仕事 
リハビリの極致

第3章 生活施設の介護力
■お年寄りはケアの質を直接映し出す 
施設はできるだけ開放する 
床ずれは治るものです 
坐位の効果 
骨壺をひねってはどう? 
病院は生活用具に関心がない 
Sさんのケアプラン 
入れ歯を補修 
それまでやってきたことは全部やらせる 
転ぶかもしれませんが 
骨折でも手術をしない?

第4章 生活モデルのターミナルケア
■老いを拒む社会になっていないか 
老いが見えにくい社会 
なんとか支えられる 
あれこれ言うと寿命が縮む 
三六五日・二四時間酸素吸入?! 
適用の見極め 
貧しい方法を生む背景 
したたかなお年寄りたち 
タイムマシンにつき合う 
管理が必要なこととそうでないこと 
安全な食事のためにも管理しない 

■特養で看取られること 
ターミナル段階の不思議 
最後の一閃まで 
家族の心は揺れる 
ご遺体が介護のすべてを語る

評者:シルバー新報 (2007年5月25日 シルバー新報)
保健師である著者が副施設長を務める東京都北区立の特養・清水坂あじさい荘は、九八年の開設当時から身体拘束を一切せず、ターミナルも当たり前に行っていることで知られる。一六〇人の入居定員に対し一二人もの看護師がいるからだと思われがちだが、実はそれが本当の理由ではない。ここでは、褥瘡やおむつかぶれ、肺炎や脱水などを起こす高齢者が、圧倒的に少ないのである。
 「食べたいものを食べてもらい、トイレに行きたいときに誘導する。日ごろ、お年寄りの免疫力を上げるケアをしていれば、看護師が走り回らなくても済むんです」。つまり、看護師しかできない処置をいかに少なくできるかが、生活の場である施設に求められている使命である、というのが著者の揺るぎない姿勢だ。
 では、生活施設での看護師の役割とは何か。ひと言でいえば、それは予測と判断に基づく責任が取れるかどうか、に尽きる。例えば、心臓病がある八〇代後半の高齢者が熱いお風呂に首までつかりたい、と言ったとき、「責任が持てない」と反対する看護師なら素人からセミプロ。「それで八〇過ぎまで生きてきたんだから、溺れ死なないようにすればいい」と考え、リスクに対する手を打てるのが看護師のライセンスを生かす本当の意味なのだと。看護師は、重度化への対処のためではなく、人生を全うする最後の生活の場を支えるために必要なのだという言葉に納得する。




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